みんなでごはん

　最近、紅丸には大好きなお友達ができた。
　いや、前から我が家には存在していた、そのお友達と、新たな遊びを始めたというか……

　最初はベネッセ出身のトラの「しまじろう」（通称：シマ……パペットってやつかな？）が、お友達になった。
　その日から、1日に1匹ずつ増えていく。
　「ペンギン」（通称：キリン……なんでだ！？ｗ　お腹を押すと笑い出す）や、ベネッセ出身、おきあがりこぼしの「しまじろう」（通称：イマイロ）、不二家出身「アンパンマン」（通称：アンパンマン……しのっぴ嬢にいただいたキャラメルが入っていたケースｗ）などなど。
　先週1週間で、いきなり4人のお友達が、朝から夜まで一緒に遊んでくれる。

　朝はベッドから起きて、全員をリビングに連れてくる。
　
　もちろん、ベッドに居るということは、前夜には全員を持ってベッドに入り込み、誰がドコで寝るとか、決まりがあるようで、枕元に綺麗に並べて寝る。
　たまに、紅丸の寝相の悪さに嫌気がさした「アンパンマン」が、寝返りをうった、私の背中にゴツっと当るとか、夜中に楽しい夢でも見ていたのか、いきなり「ワハハハハハ！」と笑い出すペンギン、そして、手を伸ばすと、時折、カランコロンと転がる「イマイロ」たちに、たびたび起こされながら寝ている。

　そして、起きたら朝ごはん。
　最初は快調に食べているのだが、そのうち紅丸は気づき、「シマ、オイチュ！」と叫びだす。
　……
　そう、そこからが、新しい食事のライフスタイル。

　見える場所に、お友達4人を並べないとならない。
　そして、オカズを指さす紅丸。
　それを食べたいのかと、とって口元に運ぶと、「あー（怒）！」と怒る。
　……そうでした……
　紅丸が怒りながら指差す先には、お友達が今日もにこやかな笑顔で座っている。

　頭から大粒な汗マークを落としながら、私はお友達の口元に、オカズをひととおり食べさせるフリをする。

　「ぱくぱくー、ぱくぱくー、ぱくぱくー、ぱくぱくー」

　4人全員だ。
　そうしないと、紅丸はそのスプーンに乗ったものを食べてくれない。
　そして、お茶も全員に飲ませる。

　「ちゅーちゅー、ちゅーちゅー、ちゅーちゅー、ちゅーちゅー」

　……
　そもそも、子供と遊ぶのが苦手なのだから、この作業が面倒くさくてたまらん。
　ついつい、大粒の汗を頭から落としながら……

　「やっぱり、みんなで食べるご飯はおいしいね～……＿|￣|○　」

　と、誰に聞かせるでもなくつぶやいてみたり……。

　それを、食事が終わるまで繰り返させられるのだが、これって「遊び食べ」……だよなぁ。
　やめさせたほうがいいのかなぁ。
　でも、それを拒否すると、猛烈になく。
　今日の昼、そのコト（お友達に食べさせること）に最初気づかなくて、おお泣きされて、とても私と紅丸の間が険悪なムードになった。
　ふと気づいて、キリンに食べさせたら、ご機嫌になって食べ始めた。
　ん～……コレでいいのか……？？

　最近は、買い物に行くのも、病院に行くのも、お友達を連れて行こうとするので、とりあえず、外出時は「シマ」だけにしている。
　4匹も連れて行ったら、何もできないしな。

　先日、病院の会計で、お金を払っていたら、会計のおねーさんがヘンに愛想よく「それ、シマジロウでしたっけ？」と、シマを指さし聞いてきた。

　「あぁ、そうです……」と何気なく答えたが、おねーさんのこちらをうかがう表情に、ピンと来るものがあった。
　おねーさんは、私がシマを大事そうに胸に抱きながら、支払いをしている様子に困惑しているのだと……。
　こっ！……コレは紅丸の……とイイワケしようとしたのだが、紅丸は遠くのほうで走り回っていた。
　そ知らぬ顔をして……。

　紅丸の罠だなコレは……。